さぶ (新潮文庫)

2007年8月7日 読書
ISBN:4101134103 文庫 山本 周五郎 新潮社 1965/12 ¥660
 
 
 
 
 
 
 
 
 
教訓:母親でも友達でも恋人でも妻でも、悪い女の人に関わると一生を棒に振ります。(>_<;)

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時代劇といってもチャンバラではありません。
特に、血気盛んな若い男性や少年にお勧めしたい一作です。
おそらく作者もそう考え、若く賢くたくましくも「苦労知らず」と言われてしまう栄二を表側の主人公として書いているのでしょう。

世の中を理解したように斜に構えていた職人の栄二は、将来を見込まれた腕を持ち、若い女にももてるが、あるとき周囲の人の思惑によってどん底に落ちます。
ひどい仕打ちを受けたことで憎悪に燃え、世間を敵と見なし復讐を誓います。
しかし親友さぶの変わらない友情と地味な性格、そしてそれまで深く関わることのなかった不幸な人々と近づき支えあって生きることで真に成長していきます。
「自分一人が強く賢いだけではやっていけない」
はたして栄二は、自分にとって“さぶ”がどういう存在であったのかを悟るのです。

人の心は、いつ、何がきっかけでどう変わるのか、まるで分からない。
親しい人やただの顔見知りにいつのまにか憎まれていることもあれば、いけすかない奴と思っていた人から恩を受けたり、ふとしたことで親友というほどの仲になっていることもある。
そして変わったように見えても、実は初めからずっと変わっていないのかも知れない。
知らず知らずのうちに親しくされているのかも知れない。それは決して理屈だけで計れるものではない。
要するに、わけわかめ。

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解釈の分かれそうな最後の場面については、疑わしい真偽のほどは、さほど重要ではないのでしょう。
おすえがどういうつもりだとしても、彼女を拒絶したなら、きっと不幸は繰り返されたでしょう。しかし栄二はそうはしませんでした。

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