窓

2006年9月4日 読書
ISBN:4062646412 文庫 乃南 アサ 講談社 1999/07 ¥580
 
 
 
 
 
 
 
 
 
私は、どこへ行けばいいんだろう。高校三年生の麻里子は、進学や友人関係など変わりゆく周囲にとまどう。そんな彼女のまわりで起きた事件。それに関わる少年が自分と同じ特徴を持つと知り麻里子は・・・。思春期の少女の微妙な心模様と家族の愛情を描いた、『鍵』に続く傑作青春ミステリー。


続編。長編ミステリー。
直接的な描写はないと言っていいが、残酷な殺人事件を含む。
前作ではまだ子供っぽい高校生だった主人公の女の子が、大人になりかけている高校生として成長する様子に惹きつけられる。
以前は仲違いしかけていた兄と仲良く、それと逆に兄の親友との関係が微妙になっていて面白い。

前作は主人公側の人物での視点だけだったが、この作品では半分近く犯人側の視点で展開している。
コロンボとか古畑任三郎といえば分かりやすい。
ただ、それらと違って話が長い上にしょっちゅう(数ページごとに)視点が変わるので、その複雑な絡みというか追いかけっこのような進み方が醍醐味になっている。
欠点として、ちょくちょく場面が変わるために状況が把握しにくいが、断片的な情報をパズルのように組み合わせる楽しみを伴う長所でもある。
真相を知って、意外な驚きを楽しんで頂きたい。

犯人はいわゆる脱落者。
一見普通ながらも段々と膨れ上がる狂気を内容しているところが恐ろしい。そしてそれが面白い。
現実に近所にでも住まってそうな人間みたいにリアルに描かれているから、急に日常から非日常になることに、新鮮な恐怖を味わえると思う。
粗筋では主人公の女子高生のことがメインにあるけど(というか、それだけしかないけど)、作者さんが書いてて面白かったのは、犯人の姿なんじゃないかな?

犯人は小心者で無駄にプライドが高くて甘ったれで短気で執念深くて情けなくて見苦しい。
だから、同世代や似た境遇の人が読むより、年の離れた人が「馬鹿な奴だ」と思いながら読む方が面白く読めるのかも知れない。
もっとも、犯人がそうなってしまった原因がどこにあるのか、それを考えようとすると色々と分からなくなる。

印象的な箇所
p259,260,261

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まるで私みたいだ。

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