ISBN:4091266150 コミック 高橋 しん 小学館 2006/01/18 ¥410
 
 
 
 
 
 
 
 
『いいひと』『最終兵器彼女』の作者の執筆中の作。
最近になって5巻を読んだ。
これは、すごい。
悲劇的展開の演出(特に最後)と、か弱い主人公イコロの強さが際立って感じられた。
イコロの本名って初めて出てきたんじゃないかな。驚いた。
設定などで予想できた部分もあったけど、それも含めてまとまっていて良かった。
あと、この和む絵柄でよくここまでネガティブや残酷さを描けるものだと、つくづく思った。

OK,北海道弁は(何となく)把握した。
『いいひと』でもこんな感じの言葉なんだろか。ちょっと読みたい。

この漫画、テーマは「絶望と希望」「生きる」というところかな。
荒廃した世界の絶望を描くくせに変にはっちゃけてて、最初はそれが好きじゃなかったけど、それでも面白いと4,5巻辺りから思えてきた。
同じネガティブ作『最終兵器彼女』では、どうしようもない絶望・悲観が目立っていて、それはそれで優れているけれど、読み返したいと思わせないものがある。鋼鉄の牢獄のような冷たい戒めのイメージがある。
それを踏まえた「はっちゃけ」や「生への力強さ」の要素なんだろうかと思う。
この作品も暗いといえば、ものすごく暗いけど。初っ端から「もうすぐ寿命の尽きる世界」という絶望感があるから、逆に明るさも目立つのかもしれない。

倫理も何も無くなりかけた世界で、人としての最低限の善を信じ、示すことがどれだけ難しいかと考えさせられる。
無知から、やらなくていい余計な事ばかりをして、やるべき身近な事をしようとも考えない。いや、考えられなくなるのかな。
決して現実からかけ離れた姿ではないよな、と思う。

設定で、この世界の部族はイコール職業になっているのが面白い。
戦族とか、耕族とか、王族とか、政族とか。
江戸時代と同じで世襲が当たり前なんだろう。
しかし本来はカースト制度みたいなものでは全くなく、あくまで職業・役割であるという感じを受ける。
それはある意味で理想的な姿だ、という作者の意見が聞こえてきそう。

今後の展開が非常に気になる。

絶望+希望+絶望+希望+絶望=プラスマイナス0・・・?

○○は生きていると思いたい。思いたいだけ。
作者の趣旨を考えれば、そうは成り得ないと分かっている。

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